今日は、歯科技工士会主催の研修会に参加しました。
今回の研修は、歯科技工士生涯研修基本研修過程「摂食嚥下リハビリテーション日技指定研修」で
歯科技工士だけでなく歯科関係者を対象に、摂食嚥下リハビリテーションの基本的知識と口腔内装置
の制作方法の講習により、学びのきっかけになる事を目的として行われているそうです。
お1人目の講師は、東京化学大学(旧 東京医科歯科大学)大学院 摂食嚥下リハビリテーション学分野講師の
戸原 玄先生で、「摂食嚥下リハビリテーションの基礎と実際」との演題でご講演頂きました。
嚥下障害のある方は、対応してもらえる医療機関がどこにあるのかという事がわからなかったり、外食をしたくても
食べられない物がある為に行く事が出来なかったりという方が多くいらっしゃるので、そこを何とか出来ないかと摂食嚥下
関連医療資源マップという物を作成されたそうです。
マップには、摂食嚥下障害に対応してもらえる医療機関や、嚥下障害の方でも食べやすい食事を提供してくれるお店が
載っているとの事。
障害があると家に引きこもってしまいがちですが、このマップがあれば外出する機会が増えますね。
車椅子で通る事が出来た道とも連携しているとの事で、素晴らしいマップだと思いました。
そして、マップには あの東京ディズニーランドも載っているそうなんです。さすが夢の国ですね。
他にも、牛丼の吉野家も対応してくださっていて、ある施設に行った際には、わざわざ吉野家の名前入りの丼を持って
来てくださってお店の雰囲気を味わわせてくださっていたそうです。
普段は、食欲が無いと言っている方も、とても美味しそうに牛丼を食べていたそうです。
お話を聞くだけで、心が温かくなりました。
他には、VE(嚥下内視鏡検査)の映像や、麻痺が片側なのか両側なのか、また上位なのか下位なのかによる違いであったり、
片側麻痺の場合は喉に影響する事はない事。咳テスト、開口訓練、マウスピースを用いた訓練などのリハビリについてのお話。
急性期病院退院後の食事支援の問題点、お口の機能と食形態を合わせる事なども実際の症例と合わせてお話して頂きました。
声帯を失った方の声を摂り戻す装置「Voice Retriever」の紹介などもありました。
食べるという事は 栄養や健康の問題だけではなく、美味しい物を食べる楽しみが 生きていく上での心の豊かさに直結して
いると思います。
先生のお話をお聴きして、食べる事が出来る機能を出来るだけ長く維持出来るような支援をさせて頂きたいと思いました。
お2人目の講師は、日技認定講師の一志恒太先生で、「摂食嚥下リハビリテーションに使用する口腔内装置の必要性と
製作方法について」との演題でのご講演でした。
日々、口腔内の様々な補綴物を作製している技工士さんですが、普段から摂食嚥下リハビリテーションで使用する口腔内装置の
作製をされている方は少なく、作製方法を学んでいる方も少ないとの事で、今回は具体的な作製方法を解説して頂きました。
歯科衛生士も、どの様な装置を使用するのかわからない方が多いと思います。
装置の実物も展示してあり、こういった装置を使ってリハビリを行うのだという事が具体的にイメージ出来ました。
これからの高齢者社会に向けて、歯科医師、技工士、衛生士が力を合わせて取り組んでいく事が大切だと思いました。